日本キリスト教団(日本基督教団) 芦屋西教会 公式サイト。兵庫県芦屋市のプロテスタント教会。

伝道のしおりNO.17「おにぎり二つ」

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伝道のしおりNO.17「おにぎり二つ」
山田 謙牧師からのメッセージ「おにぎり二つ」

 久しぶりに故郷に行き、幼い頃のことを思い出しました。小学3年の頃、友達と2人で遊んでいると「おやつだよ」と言って、ほっかほかの「おにぎり」2つが出てきました。それは、しその葉の紫色の粉(ゆかり)が白いごはんに混ぜられているおにぎりでした。しそをまぶしたおにぎりを、私はそのとき生まれて初めて食べました。

 初めて一口ほおばって、そのおいしさにびっくり!それだけでなく、目の前にいる友達が急に羨ましくなりました。「毎日こんなにおいしいものを食べているんだ!」 実は、その友達は、養護施設に住んでいました。その施設にはおやつはなく、保母さんが気をまわしてわざわざ握ってくれたのです。が、美味しいおにぎりを食べられる彼のことが、ただただ羨ましいばかりでした。

 私達は、今見ているもの、ほんの少しのことで、目の前の人のすべてを推し量ろうとするようです。その数日後、彼と遊んでいると、一人の老婆が彼に会いに来たのです。大きな紙袋から、子どもの服やおもちゃを取り出していました。離れて見ていた私は、心の中で「お母さんに会えますように」と彼の幸せを祈りました。

  イエス様は、友のない人に近づかれ、すべてを受け止めてくださいました。イエスに出会った徴税人ザアカイが、まっとうに生きたいと願うようになりました。イエス様は、ザアカイに神様からの愛を語ったことでしょう。そして、ザアカイの身の上話を一生懸命に聞いてくださったのだと思います。イエス様のような、よく見える心の目と、よく聴ける心の耳が欲しいなあと思います。作家・灰谷健次郎さんが「人を愛するとは、その人が生きてきた道を知ることだ」(『兎の眼』)と書いています。