故 築山泰三牧師からのメッセージ「The Book」
山の端に日が落ちて夕映えが空を染め、やがてあたり一面が暗くなっていくと家々の灯火がその明るさを増してきます。長い夜の始まりです。母さんが夜なべして編物や繕いものをし、父さんがわら打ち仕事というのは、一昔前の話。いまは居間や自分の部屋に閉じこもってテレビ浸け。あるいは父は残業、母はパート、子供たちは塾にいって、家には誰もいないということも。昔とはずいぶん様変わりです。
昔と変わったといえば、読書の習慣がずいぶん無くなってきたということもその一つでしょう。テレビのない時代、読書は大きな楽しみの一つでした。しかし、テレビを見たりパソコンの前に座っているとアッという間に一時間や二時間がたってしまいます。
頭脳の退化を防ぎ、つねに若々しくあるためには絶えずその理性と感性を訓練することが大切です。つねにみずみずしい感性の持ち主であるためには、美しいものに感動し、苦しみの中にいる人に思いを寄せるということが大切です。押し寄せる情報の洪水から身を引く努力が時には必要なのではないでしょうか。
それと共に、理性もほっておくとどんどん退化していきます。理性を鍛えるにはなんと言っても読書。せめて一日三十ページ、それもやや固めのものが頭を鍛えてくれます。ページをめくりながら、しばし休んでその内容に思いをめぐらす。時にはそんな時間を日が落ちた後の夜のしじまに持ちたいものですね。「THE BOOK」といわれる聖書など、きっと皆さまの理性と完成を養うものになるのではないでしょうか。