故 築山泰三牧師からのメッセージ「禁断の木の実」
アダムとイヴがエデンの園で食べたのは何時の間にかリンゴということになっていますが、聖書にはただ「善悪を知る木の実」とあるだけで、リンゴとは書いてありません。リンゴにとってはとんだ災難ですね。要するに、神に代わって人間が、自分の判断を絶対とするようになったということです。その結果、人は自分や自分たちの考え、その判断を絶対化し、そうでない考えや判断は間違っているとして、他の人たちの考えや生き方を認めようとしなくなりました。自分だけが正しいと信じて傲慢な心をもつようになったのです。かつての日本も、鬼畜米英といって日本のみが正しいと信じ込み、大きな過ちを犯しました。自分たちの国を神の国とし、自分たちの考えを絶対化した結果、あの悲惨な戦争が起こったのです。
百人の人には百人の顔があるように、それぞれの貴い命、人生があります。神の目から見た時、それぞれにキラリと輝く命の宝です。しかし、禁断の木の実は、今も私たちの心にあって、自分のみを絶対化したい誘惑を起こします。でも、わたしの命や人生が大切なように、私の隣人の命や人生も神から与えられた命であり、一回限りの大切な人生です。 隣人の命や人生を尊重するところから、真の平和が生まれてくるのではないでしょうか。再び、リンゴを禁断の木の実にしてはなりません。